2015/06/08
実際に測定した数字が出ているものは当館資料では見つけられなかった。
以下、(参考資料)から。
【資料1】『咸臨丸日記』ジョン・マーサー・ブルック/著(『万延元年遣米使節史料集成』第五巻 日米修好通商百年記念行事運営会/編 風間書房 1961年 請求記号:2105 / 490 / 005 p.140)によれば「勝麟太郎は大変小柄であるがよく均整がとれ、たくましく身軽である。鋭い見透かすような目、鈎鼻、やや小さいあご。」
【資料2】『歴史読本 第40巻 第23号(1995.12) 西郷隆盛と勝海舟』(新人物往来社 1995年 p.79)によれば「オランダ海軍カッテンディーケ大尉は”鋭い見透かすような眼差し、小柄であるが均整が取れ、たくましく身軽”と記し」※出典は書いていない。【資料1】の記述と似ている点留意が必要。
【資料3】『勝海舟展 没後100年』(東京都江戸東京博物館/編 東京都江戸東京博物館 1999年 請求記号:M3624 / TO-3 / 119 p.53)に勝海舟の着物の展示物「上78×69cm 下88×101cm」とあるのでそこから推定する。
参考まで【資料4】『龍馬伝 2010年NHK大河ドラマ特別展』(NHKプロモーション/編 [市川寛明他解説] NHK,NHKプロモーション 2010年[再版] 請求記号:M3624 / TO-3 / 341-S00 p.29)に掲載されている中岡慎太郎の着物は「肩幅70cm身丈63cm袴丈101cm」から、中岡の身長を「153cm」と推定している。
【資料5】「日本の偉人『身体検査』」篠田達明/著(『文芸春秋スペシャル』№20(2012夏号)p.128) によると「身長156センチ。眼光炯々とした赤ら顔。短軀なるも強壮な体形と胆力を備える。」(記録や肖像画、遺品などから推定。)
【資料6】『勝海舟 戦わなかった英雄』(鵜澤義行,東都よみうり編集部/著 ごま書房新社 2010年)によると「象山の身長は174センチで、海舟より17センチ高く」(p.38)とあるので157cm、「勝海舟の銅像は、本人の身長158センチの1.6倍の255センチ」(p.195)としているが出典はない。
【資料7】『勝海舟伝』勝部真長著(『氷川清話』勝海舟/著 角川書店 1972年 請求記号:9146 / B131 / 72 p.289)には「五尺そこそこの小男であった」とある。
※大田区立勝海舟記念館(https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/hakubutsukan/katsu_kinenkan/index.html)にほぼ等身大とされるパネルがある。(156~157cm) (最終アクセス日:2024/03/12)
※【資料2】p.21に海軍奉行時代に他の人物と並んでいる写真があるので、その比較でも推定する事ができる。
(回答プロセス)
(1)もし身長の記録が残っていれば自伝や伝記で触れるかもしれないと、『氷川清話』(勝海舟/著 講談社 2000年)、『勝海舟』(石井孝/著 吉川弘文館 1986年)、『勝海舟』(松浦玲/著 筑摩書房 2010年)、『勝海舟』(松浦玲/著 中央公論社 1968年)を探すが記述見つけられず。
(2)検索サイトGoogleで「勝海舟の身長」を検索すると、156cm説が多いが出典がない。
(3)156cm説の出典を探す。同時代の客観的記録という事で【資料1】『咸臨丸日記』に当たるが数字は明示されていない。
(4)雑学的な事柄が出ている事が多い『歴史読本』で勝海舟特集を探す。【資料2】『歴史読本』第40巻第23号(1995.12) に「勝海舟の体格・気質」というページを見つけたが、数字は明示されない。
(5)記録としての身長はひとまず置き、【資料3】の遺品から推定する方法を考える。
(6)【資料5】でも156cm説を取っているが出典はない。156cm説がとても多いので、『勝海舟全集』等どこかに記録があるのだろうか。記録以外では写真が残っているので、他者との比較から推定する事はできる。
(参考資料)
【資料1】『咸臨丸日記』ジョン・マーサー・ブルック/著(『万延元年遣米使節史料集成』第五巻 日米修好通商百年記念行事運営会/編 風間書房 1961年 請求記号:2105 / 490 / 005)
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【資料2】『歴史読本』第40巻第23号(1995.12) 西郷隆盛と勝海舟 新人物往来社 1995年12月1日
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【資料3】『勝海舟展 没後100年』東京都江戸東京博物館/編 東京都江戸東京博物館 1999年 請求記号:M3624 / TO-3 / 119
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【資料4】『龍馬伝 2010年NHK大河ドラマ特別展』NHKプロモーション/編 [市川寛明他解説] NHK,NHKプロモーション 2010年 [再版] 請求記号:M3624 / TO-3 / 341-S00
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【資料5】「日本の偉人『身体検査』」篠田達明/著(『文芸春秋スペシャル』№20(2012夏号))
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【資料6】『勝海舟 戦わなかった英雄』鵜澤義行,東都よみうり編集部/著 ごま書房新社 2010年 請求記号:2891 / 982 / 0010
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【資料7】『勝海舟伝』勝部真長/著(『氷川清話』勝海舟/著 角川書店 1972年 請求記号:9146 / B131 / 72)
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【資料8】『長崎海軍伝習所の日々』カッテンディーケ/著 水田信利/訳 平凡社 1964年 請求記号:2105 / 545 / 64
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(備考)
近代日本人の肖像(国立国会図書館) http://www.ndl.go.jp/portrait/index.html (2012/7/6確認)
古写真データベース(東京大学史料編纂所) https://wwwap2.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/shipscontroller (2024/3/11確認)
※山梨県立図書館様より『勝海舟-戦わなかった英雄』(鵜澤義行 東都よみうり編集部著 ごま書房新社 2010)の記述と、『山梨日日新聞』2007年11月6日18面に掲載された『歴史人物の身長 推定OK』と言う記事をご紹介戴きました。『歴史人物の身長 推定OK』は、北里大学の平本嘉助講師と甲州市の郷土史研究家、矢崎勝巳氏が発表した歴史人物の身長を推定する手法について書かれており、肖像画や写真の着衣、所持品をヒントに解剖学的に身長を考察します。ほとんどの和服の襟幅が当時から6cmか6.5cmのいずれかであること、肖像画の扇子の長さ、上腕骨と身長に相関関係があることなどから推測する事が可能であり、その手法では坂本龍馬は156~169cmと推定しており、勝海舟の身長の推定値はありません。(当館では『山梨日日新聞』の所蔵がないので記事の確認はできませんが、山梨日日新聞社のホームページに関連記事が掲載されています。 http://www.sannichi.co.jp/local/news/2013/01/30/11.html (2013/2/13確認))
※八王子市中央図書館様より、ネット上では156cm説が多く「五尺一寸」という表現もあるので記録が残っているかもしれないとのご教示をいただきました。
(レファレンス協同データベース版)http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000107631